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2007年4月19日 (木)

天のろくろ

527132261 世間では「ゲド戦記」で知られる、アーシュラ・K・ル=グウィンの「天のろくろ」が復刊されたので、読んでみました。

内容は荘子の「胡蝶の夢」を下敷きにしたもの。

主人公のオアは「夢を見たくない」ために大量の薬を飲み、精神科医ウィリアム・ヘイバー博士の診察を受けることとなる。

オアが夢を見たくない理由は「自分の夢が現実を変えてしまうから」というものだった。

ヘイバーはそれを精神錯乱からくる妄想と考え、オアを自分の開発した「夢をコントロールできる装置」で治療することにする。

そして、ヘイバーはオアがいっていたことが妄想ではないことを知る。

その後ヘイバーがとった行動は、オアの夢を利用して世界を「よい方向」へ変えていくことだった。

世界は変わっていき、それに反発したオアはヘイバーのもとを去る。

ヘイバーは自分の力で世界を変えようとするが・・・。

・・・・完全にSFです。しかも私が好きなサイバーもの。

オアとヘイバーの心理戦が、なんともドキドキさせられます。

一見ヘイバーの思い通り動かされているオアが、ヘイバーの望みをゆがんだ形で実現していくところがめちゃくちゃ面白いです。

例えば「人口過剰を阻止したい」と思うと「過去に疫病がはやって人工が十分の一になった世界」が現実になるし、「地球上から戦争をなくしたい」と思うと「異星人との戦いが宇宙でおこっている」ということになり、挙句の果てはその異星人が地球に来て人類と共存するということに・・・。(この異星人がとても魅力的)

ヘイバーが示唆しオアが変えていった世界は最終的に「戦争も人種問題も癌も貧困も不平等もない世界」だが、「最大多数の最大幸福」が最優先され、癌の遺伝子を持つものは容赦なく殺されるような世界になる。

ヘイバーはそれを「進歩」だといい、オアは「世界が駄目になっていく」と感じている。

この作品が書かれたのは1971年ですが、ヘイバーのやり方はイラクに対してアメリカが行ったことを皮肉っているかのようです。

最終的にオアは「夢を見る自分」を受け入れ、世界の崩壊を阻止しました。

「均衡」と「あるがままを受け入れる」というのはグゥインの作品の永遠のテーマですね。

魔法や超能力や龍の形を借りて語られる物語をたどっていくと、読者はいつしか深い思索の世界に導かれています。

それがこの作家のすごいところで、ゲド戦記がとても長い間読み続けられているのもこの辺りがポイントではないでしょうか。

この物語が書かれてから30年以上たちましたが、私たちも世界も未だにたくさんの問題を抱えています。

でもあるがままを受け止め、問題解決におごることなく真摯に取り組んでいけば「アナタハヨク生キテキマシタ」とエネメーメン・アスファーにいってもらえるような気がします。

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